股関節の前面(鼠径部)の痛みは、歩く、座る、立ち上がるという日常動作すべてを妨げます。

 

単なる筋肉痛だと放置せず、その奥に潜む「関節の悲鳴」に耳を傾けることが、早期回復の第一歩です。

 

 

女性患者さん
女性患者さん

先生、最近、足の付け根というか、股関節の前側が痛くて。

 

特に椅子から立ち上がる時や、階段を上る時が辛いんです。

では拝見しますね。

 

股関節の前面って体重がかかる部分であると同時に、痛みを感じやすい色々なもの(関節そのものや重要な筋肉や腱)が密集しているんですよ。

ますだ院長
ますだ院長

 

 

 

痛みの原因と推測される病態

 

 

いくつかの可能性が考えられますが、今回のように立ち上がりなどで痛む場合、こんな病態があやしいですね

ますだ院長
ますだ院長

 

 

推測される病態 痛みの原因の本体 症状の特徴
変形性股関節症 関節軟骨のすり減りによる炎症 立ち上がりなど動き始めの痛み
腸腰筋炎 股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)の使いすぎ 足を上げる動作での鼠径部中央の痛み
FAI(挟み込み) 骨同士の衝突による関節唇などの損傷 深く曲げる、ねじる動作で鋭い痛みが走る

 

 

特に、股関節の奥にある腸骨筋や、ふともも、つながっているおしりの筋肉が、その痛みを引き起こす実行犯となっていることが多いです。

ますだ院長
ますだ院長

 

 

 

 

当院の鍼灸による具体的な対処法

 

 

 

女性患者さん
女性患者さん

そうですか…。

 

整形外科でレントゲンは異常なしと言われてどうしていいかわからないんですが

 

鍼で本当に良くなるんでしょうか?

はい。当院はレントゲンには映らない問題に対して鍼灸治療を得意としています。

 

股関節のように奥深くにある問題に対しても、痛みの根源に直接アプローチできます。

 

長い鍼がありますから

ますだ院長
ますだ院長
女性患者さん
女性患者さん

長い・・・こわいですね(笑)

見えないから大丈夫ですよ(笑)

 

まずは腸腰筋炎

 

あとは似たような症状でグロインペイン症候群

 

への対処をご説明します。

 

腸腰筋炎は、鍼治療が最も得意とする分野の一つです。

 

股関節の奥にある腸腰筋、腰の奥底にある大腰筋へ「直接しっかりと」鍼をします

 

炎症と筋緊張を早期に解消しますので、比較的早く治癒に向かうことが多いです。

 

腸骨筋は1枚目の写真で鼠径部にある鍼です。

 

大腰筋は2枚目の写真で腰痛でよく行うものです。両方同時に行う場合は横向きで施術します。

 

グロインペインの場合は3枚目のように鍼をする場合が多いです。

ますだ院長
ますだ院長

次はFAI・変形性股関節症への対処ですが、お尻の筋肉、それに連動する太ももの筋肉の緊張を解いていきます、つまり鍼をします。写真のようにですね。

 

そして、できるなら股関節の奥にある腸骨筋にも鍼をすることで、鼠径部への負担を軽減します。

 

また、股関節や腰へモビライゼーション(軽い関節矯正みたいなもの)を併用し、股関節を支える土台を安定させます。

ますだ院長
ますだ院長

最後に今回は影響が少ないと判断しましたが腰からの神経痛、症状で言えば大腿神経痛と言われるものも可能性は否定できません。

 

もし腰椎由来の大腿神経痛が原因であれば、下の写真のような腰の骨付近と大腰筋へのアプローチに加え、腸骨筋やふとももの緊張を緩め、神経の圧迫を解放していきます。」

ますだ院長
ますだ院長

 

治療回数と見通しについて(重要なお話)

 

 

 

 

女性患者さん
女性患者さん

ありがとうございます。

 

でも、正直、何回くらい通えば治りますか?

 

1回で良くなりますか?

お気持ちはよく分かります。

 

しかし、股関節は体重が常にかかっています、つまり立っていると負担がずっとかかります。

 

そのため、残念ながら1回の施術で完治することは極めて難しいとご理解いただきたいです。

ますだ院長
ますだ院長

 

 

施術機関の目安

 

 

 

【変形がない機能的な痛み】

 

 

腸腰筋炎やFAIなど、レントゲンで大きな変形が見られない機能的な問題でも、

 

数回〜1ヶ月半ほどの定期的な通院が必要です。

 

 

【変形を伴う慢性痛】

 

 

骨の変形が見られる変形性股関節症の場合は炎症が強く、改善には時間がかかります。

 

長期的な見通しとして、まず3ヶ月ほどは集中的に継続していただく必要があります。

 

 

(補足)

 

変形が高度な場合は、西洋医学的に手術が適応となります。

 

が、鍼治療には長期間継続することで関節周囲の血流を改善し、痛みの緩和と機能回復を目指す可能性があります。

 

 

当院での目標は一時的な鎮痛ではなく、リバウンドしない安定した状態を保つことです。

 

手術になるとリハビリが大変だと経験者から伺っています。

 

そうなる前に一緒に頑張って、快適に歩ける体を取り戻しましょう。

ますだ院長
ますだ院長
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