メニエール病とは?
メニエール病は、内耳のリンパ液が過剰になる「内リンパ水腫」によって、めまい・耳鳴り・耳閉感・難聴などを繰り返す病気です。
発作が突然現れるため、生活の質(QOL)を著しく下げてしまうこともあります。
鍼灸がメニエール病に有効とされる理由
鍼灸は、自律神経を整えたり、内耳周囲の血流を改善したりする作用があるため、メニエール病に伴う症状の緩和が期待されます。
また、首や肩の緊張が内耳への血行に影響するため、その緩和も重要です。
- 自律神経のバランス調整(交感・副交感神経)
- 内耳周囲の血流改善
- ストレスによる症状悪化の緩和
- 頚肩部の筋緊張の緩和による耳圧の安定
主な研究・臨床データ
以下は、メニエール病に対する鍼灸の有効性に関する国内外の研究・症例報告です。
1. 中国での臨床研究
鍼灸単独または漢方併用による臨床試験が複数行われ、
めまい・耳鳴りの改善率が70〜90%に達したという報告があります(出典:『中国針灸雑誌』など)。
2. 日本国内の症例報告
『全日本鍼灸学会雑誌』などで、頚部・耳周囲のツボに施術を行ったところ、症状が軽減・再発頻度が低下したとする症例報告があります。
3. WHO報告(2003年)
WHOが発表した鍼灸の適応疾患リストでは、「めまい」への鍼灸効果が認められており、メニエール病の症状軽減にも応用が期待されています。
4. 系統的レビューの現状
Cochraneなどの系統的レビューでは、メニエール病に対する鍼灸の大規模なRCT(ランダム化比較試験)はまだ不足しており、今後の研究が求められています。
よく使われる鍼灸のツボ
- 翳風(えいふう):耳の後ろのくぼみ、耳鳴り・耳閉感に
- 完骨(かんこつ):後頭部の側面、めまいに
- 内関(ないかん):手首の内側、吐き気・自律神経調整に
- 風池(ふうち):首の後ろ、めまい・頭痛に
まとめ|メニエール病と向き合う鍼灸の可能性
鍼灸は、メニエール病のつらい症状に対して副作用が少なく、自然なアプローチで改善が期待できる方法です。
研究データはまだ発展途上ですが、症状緩和を目的とした補助療法として、日常生活の質を上げる一助になるかもしれません。
「薬だけではつらさが取れない」「なるべく自然な方法で改善したい」とお考えの方は、ぜひ一度鍼灸をお試しください。