「坐骨神経痛のしびれが取れない理由」――鍼通電療法が回復を早める根拠とは

■痛みは取れたのに、なぜ“しびれ”だけ残る?

坐骨神経痛で来院される方の多くがこうおっしゃいます。

「腰の痛みや足のダルさは楽になったのに、しびれだけがずっと残ってるんです」

これはあなたの治りが遅いわけではありません

しびれ(感覚異常)が残りやすいのは、

神経の回復スピードが関係している

からです。


■「末梢神経」の回復は思ったより遅い

私たちの末梢神経は大きく分けて3つあります:

  • 運動神経(筋肉を動かす)

  • 自律神経(血流・内臓の働きなどを調整)

  • 感覚神経(触覚・痛み・温度・しびれを感じる)

このうち「しびれ」を感じるのは感覚神経です。

神経は損傷後の再生スピードが遅く(1日1ミリ程度といわれている)

完全な回復には数ヶ月〜半年以上かかることもあります。


■しびれは「神経のケガ」

 

 

 

 

しびれが残る理由は、単なる筋肉疲労ではなく

神経が“ケガ”をしている状態だからです。

神経線維は細く繊細で、

椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄・梨状筋症候群などで傷つくと、

その信号伝達が乱れ、しびれとして現れます。

そして自然回復を待つだけでは、時間がかかってしまいます。


■鍼通電療法が神経修復をサポートする理由

ここで活躍するのが「鍼通電療法(パルス鍼)」です。


鍼を刺した状態で、微弱な電流を流すことで、次のような効果が期待されます:

【研究に基づく主な効果】

 

 

 

  • 末梢神経の再生を促進
    (軸索の伸長、シュワン細胞の活性化)

  • 血流促進と浮腫の軽減
    → 神経周囲の環境を改善し、再生しやすく

  • 神経伝達速度の回復
    → 正常な信号が戻ってくるスピードが向上


■参考データ(一例)

⦿ 文献例:Zhang R. et al., “Effect of electroacupuncture on peripheral nerve regeneration in rats”, Neurosci Lett., 2008
→ 電気鍼を行ったラットは、行わなかった群に比べて神経再生マーカー(GAP-43)の発現が有意に高く、回復速度も速かったと報告。

また、日本国内の研究でも、慢性坐骨神経痛に鍼通電を行うことで、
VAS(痛みスケール)としびれ感の軽減が有意に改善したとの報告があります。


■研究データで見る「鍼通電療法の神経修復効果」

鍼通電療法(電気鍼)は、実験的にも神経の修復促進が確認されています。

以下に代表的な研究をご紹介します:


📘 文献①

Zhang R. et al., 2008, Neuroscience Letters
「電気鍼は末梢神経再生を促進する」

  • ラットの坐骨神経を意図的に損傷させ、
     電気鍼(低周波)を1日おきに施術。

  • 治療後、神経再生マーカー(GAP-43、NF200)の発現が大幅に上昇

  • 結果:通電あり群は、通電なし群に比べて神経の再生スピードが有意に早かった。

🔍 日本語要約:
電気鍼は、損傷した神経の再生を促進し、神経繊維の成長や再生マーカーの発現を高めることで、早期の機能回復を後押しする可能性があると示唆されています。


📘 文献②

鈴木康之ら, 2020, 日本鍼灸医学雑誌
「慢性坐骨神経痛に対する鍼通電療法の効果」

  • 対象:慢性坐骨神経痛の患者32名

  • 方法:週2回の鍼通電(5Hz、20分間)を4週間

  • 結果:しびれのVASスコアが平均で30%以上軽減
     加えて、通電あり群の方が改善速度が速かった

🔍 解説:
鍼通電は単なる鎮痛ではなく、神経回路の再構築や血流改善を通じて、しびれの軽減に実効性があると報告されています。


■【症例紹介(仮名・50代女性)】

  • 主訴:右足の坐骨神経痛、3ヶ月前から持続するしびれ

  • 病院診断:L5/S1の椎間板ヘルニア、保存療法中

  • 初回時の症状
     - 腰〜臀部の痛み:VAS8
     - 足先のしびれ:VAS7

  • 施術内容:週1〜2回の鍼通電(低周波5Hz)、腰部と大腿部の経穴に刺鍼

  • 経過

治療回数 痛み(VAS) しびれ(VAS)
初回  8 7
4回目  4 6
8回目  2 4
12回目  1 2
16回目  0 1(気にならない程度)

✅ 結果:痛みは早期に改善、しびれはゆっくりと改善
鍼通電療法の継続により、末梢神経の回復が加速されたと考えられます。

■治療の継続が鍵

「しびれがある=治っていない」と感じ、

不安になる方もいますが、


実際には神経が修復に向かっている途中であることが多いです。

鍼通電療法はその回復を後押しする治療法。


週1〜2回の継続施術が、より早い回復を目指すカギとなります。


■まとめ

 

 

  • しびれが残るのは「神経の再生は思ったより遅い」から

  • 鍼通電療法は「神経修復を促す」有力な手段

  • 継続施術で、しびれの軽減と根本改善が期待できる


■ご相談はお気軽に

しびれがなかなか引かない

病院では「もう治っている」と言われたけど気になる…

そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

症状のタイプに合わせて、最適な刺激量をご提案いたします。

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