先日もこの質問を受けたのでいろいろ調べてみました。
前回の記事(下記)のとおり、「鍼治療後の飲酒」がテーマの信頼できる研究論文は存在しないためいろんな鍼灸師が書いてあることをまた少しまとめてみました。
アルコールが回りやすくなる
酔いやすくなる
理由: 鍼治療によって血行が促進されるため、アルコールの吸収が早まり、普段より少ない量でも酔いが早く感じられたり、悪酔いしやすくなったりするという意見が多いです。
体がリラックスしている状態なので、アルコールがいつも以上に効いてしまう、という表現も見られます。
私の見解
これは非常に理にかなった見解です。
鍼治療は血流改善効果が高く、特に治療直後は全身の循環が良くなっています。
この状態でアルコールを摂取すれば、血管がさらに拡張し、アルコール濃度が高い血液が身体全体にまわったら人によってはきついかも・・・。
治療効果が減弱する
相殺される
理由: アルコールは利尿作用や脱水作用があり、体が水分不足になる可能性があります。
また、肝臓に負担をかけたり、自律神経のバランスを一時的に乱したりすることが指摘されています。
鍼治療でせっかく整えた体の状態や、自然治癒力を高める作用が、アルコールによって打ち消されてしまう、という考えが一般的です。
私の見解
鍼治療は、体が本来持つ回復力を高めることを重視します。
アルコール摂取は、肝臓に解毒という余計な負担をかけ、脱水を引き起こします。
これらは、たしかに鍼治療がもたらす
「修復・回復モード」
を阻害する要因となり得るため、治療効果の減弱は十分に考えられます。
内出血のリスクが高まる
理由: 鍼治療後に、稀に小さな皮下出血(内出血)が生じることがあります。
アルコールには血管を拡張させる作用があるため、飲酒によって内出血が起こりやすくなったり、既にある内出血が拡大したりするリスクがある、と説明されることがあります。
私の見解
私自身の身体では、飲酒後の鍼治療で内出血が多くなった感覚がないのでわかりません。
一般的に健康な方であれば、少量飲酒で重篤な内出血に繋がることは極めて稀でしょう。
好転反応(だるさなど)が強く出る
症状が悪化する
理由: 鍼治療後に、一時的にだるさ、眠気、軽い痛みなどの「好転反応」が出る方がいます。
飲酒は、これらの反応を強く感じさせたり、本来の体の状態や症状の変化を分かりにくくさせたりする、と言われることがあります。
私の見解
たしかに肝臓に負担がかかっていると倦怠感が出るとされています。
なので「少量なのに酔ったなぁ~」となる可能性は感じます
まとめと推奨される過ごし方
鍼治療後の飲酒に関しての情報は、多くの鍼灸師の臨床経験や、鍼治療後の体の生理的変化に基づいた、概ね妥当な注意点だと感じました。
厳密な科学的論文が少ないのは、人体への影響を直接比較する研究の倫理的・実施的難しさによるものでしょう。
私個人としては、鍼治療後の飲酒は、
「治療効果を最大限に引き出すため」
そして「体への余計な負担をかけないため」
に控えることを推奨していますが、「絶対飲むな」とは言えません。
ただ効果が弱くなる可能性はあるので、飲酒して
「鍼治療は思ったより効かなかった!」
と言われなければかまわないという立場です。
もう一度言います、効果が弱くなるってわかっていれば。
私もお酒大好きですし。
まあそうは言ってられないので、治療後少なくとも24時間、できれば治療を受けたその日は飲酒を避けるのが最も安心です。
アルコールではなく、温かいお茶や水などでしっかり水分を補給し、十分な休息を取ることが、鍼治療の効果を最大限に引き出し、早期回復へと繋がる最も良い過ごし方だと考えています。