鍼治療は何回くらい通う必要がある?症状別・通院期間の考え方

「もう2年くらいほとんど寝れない状態なんですが、鍼で治そうとすると何回か通わないと効果が出ないんですか?」

 

「なんとか一度だけで、治せませんか?」

 

このたびこのようなご質問をいただいたのでブログを書いてみました。

 

ご質問いただいた患者様だけでなく、初めて鍼灸治療を受けられる方、あるいは長年のお悩みを抱えている方にとって、治療の回数や期間は最も気になる点の一つだと思います。

 

結論からお伝えすると、症状の期間や深さ、求める結果によって、必要な回数は全く異なります。

 

今回は、鍼灸が体に対してどのように作用し、あなたの症状を改善するために「何回くらい」の施術が必要になるのかを正直に解説します。

 


鍼灸治療のゴールは「治癒力の定着」

 

 

まず、鍼灸治療の最終的な目的は

 

薬のように「症状を一時的に抑え込むこと」ではなく

 

「あなたの身体が持つ自己治癒力を引き出し、症状が戻りにくい体質を定着させること」

 

にあります。

 

 

痛みなど症状の「一時しのぎ」は1~5回ほどの施術で事足りますが

 

この「定着」のためには、どうしても時間と回数が必要になります。

 

【症状別】治療回数の3つのフェーズ

 

 

あなたの症状がどのフェーズに当てはまるかによって、目安となる通院回数と期間が変わってきます。

 

フェーズ 症状の例 目的と効果の出方 目安の回数・期間
① 急性期 ぎっくり腰、寝違え、風邪のひきはじめの症状 炎症の鎮静と痛みの緩和が中心。血流が良くなることで、比較的すぐに効果を実感しやすい。 1〜5回程度(集中的に)
② 慢性期 慢性腰痛、長年の肩こり、坐骨神経痛の痛み 根本原因(深部の凝り、血流障害、神経の興奮)の解除。症状が戻る周期を徐々に長くしていく。 5〜10回以上(徐々に頻度を減らす)
③ 体質改善期 慢性鼻炎、自律神経失調症、長年の不眠、耳鳴り 症状が再発しにくい身体を作るための体質調整。自律神経やホルモンバランスの定着には時間がかかる。 3ヶ月〜数ヶ月(週1回→隔週→月1回へ)

通院回数と期間の考え方

1. 初期は「集中」して通う

 

 

特に症状が強い初期や急性期は、鍼の刺激でせっかく改善した身体の状態が、すぐに生活習慣や疲労によって元に戻りやすい状態です。

 

効果を定着させるために、週に1回ほどのペースで集中的に通っていただくことで、身体に「良くなった状態」を覚え込ませる必要があります。

 

 

2. 安定期は「間隔を空ける」

 

 

症状が安定してきたら、通院間隔を2週間に1回3週間に1回と徐々に開けていきます。

 

この期間は、鍼の刺激がない状態でも、身体が自力で良い状態をキープできるチカラをつける大切な期間です。

 

3. 最終目標は「メンテナンス」

 

 

症状がほぼ気にならなくなったら、月に1回程度のメンテナンスに移行します。

 

これは、長年の癖や生活ストレスによる小さな不調が大きな症状になる前にリセットし、体質改善した状態を維持するための予防的なケアです。

 

大切なこと:あなたの身体のペースを尊重します

 

 

鍼灸治療は、患者様一人ひとりの

 

「治る力」に働きかけるため、つまり個人の健康能力に左右されるため

 

効果の出方には個人差があります。

 

「必ず◯回で治ります」と断言できないのは、あなたの身体のペースを尊重し、最善の結果を出すためです。

 

今回ご質問いただいた患者様の場合だと

 

「自律神経の不調や抗うつ薬の服用がある不眠症」

 

なので③の体質改善が必要、つまりご希望に応えることができませんでした。

 

ただ同じ不眠症でも

 

「首のこりのみが原因の不眠症」の場合には

 

(さすがに1回では無理ですが)

 

少ない回数で改善が見込めるものもあります。

 

当院では、初診時にあなたの症状がどのフェーズにあるかを詳しく診断し、納得いただける形で治療計画をご提案いたします。

 

 

無理のないペースで、一緒に根本改善を目指していきましょう。

 

 

ご予約・お問い合わせはこちらから

電話番号:0557-51-3663

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