鍼灸は「科学で説明できる治療」なのか?
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「鍼はなぜ効くのですか?」
患者さんから最も多く聞かれる質問の一つです。
近年の研究では、鍼灸の効果は
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神経系
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脳の反応
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血流
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自律神経
といった身体の仕組みで説明されるようになっています。
つまり鍼灸は、
“なんとなく効く治療”ではなく、生体反応として説明できる施術です。
(ただし現在の法制度では【医学】ではありません、あくまで【科学】です)
① 末梢神経への刺激
鍼が皮膚や筋肉に触れると、
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自由神経終末
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侵害受容器
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機械受容器
などが刺激されます。
この刺激が電気信号として脳へ伝わり、
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痛みの抑制
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筋緊張の変化
が起こります。
② 脳の「痛み抑制システム」が働く
鍼刺激により、
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中脳
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延髄
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脊髄
のネットワークが活性化し、
下降性疼痛抑制系が働きます。
これは、
脳が「痛み信号を弱める」指令を出す仕組み
です。
慢性痛への効果が報告されているのは、この作用が大きく関係しています。
③ 血流の変化
鍼刺激によって、
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血管拡張
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局所循環改善
が起こります。
これにより、
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酸素供給
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老廃物排出
が進み、
筋の硬さや痛みが軽減していきます。
④ 自律神経の調整
鍼は、
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交感神経
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副交感神経
のバランスにも影響します。
その結果、
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睡眠の質
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胃腸の働き
-
疲労感
などにも変化が起こります。
⑤ 脳の可塑性(神経の再学習)
慢性痛では、
「痛みを感じやすい脳の状態」が固定されていることがあります。
鍼刺激は、
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感覚入力を変える
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運動のしやすさを変える
ことで、
脳の痛みの記憶を書き換える方向
に働くと考えられています。
スピリチュアルとの違い
ここで誤解されやすい点があります。
科学的説明とスピリチュアルは
必ずしも対立ではありません。
違いは、
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どの言葉で説明するか
-
どの視点を重視するか
です。
科学的説明は、
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再現性
-
検証可能性
を重視します。
科学的な鍼灸の特徴
科学ベースの鍼灸には次の特徴があります。
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施術前後の変化を確認する
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痛み・可動域などを評価する
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再現性を重視する
-
施術の意図を説明できる
つまり、
「なぜそこに鍼をするのか」を言語化できる点が大きな違いです。
「説明できること」と「説明しきれないこと」
現在の研究でも、
すべての症状を完全に説明できるわけではありません。
例えば、
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慢性疲労
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自律神経症状
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原因不明の痛み
は複合的で、
神経・心理・生活習慣が絡みます。
ここに鍼灸の臨床的な価値があります。
鍼灸が向いている症状
科学的研究が多い領域としては、
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慢性腰痛
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頸肩腕症候群
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膝痛
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頭痛
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自律神経症状
などが挙げられます。
まとめ
科学的に説明できる鍼灸とは、
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神経
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脳
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血流
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自律神経
といった身体の反応に基づく施術です。
重要なのは、
「何をしているのか説明できること」
です。
それが、
安心して受けられる治療につながります。