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股関節が痛いのはなぜ?
原因と「見逃せない病気」を鍼灸師が解説
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「股関節のあたりが痛くて、歩くのがつらくなってきました」
「病院でレントゲンを撮ったら異常なしと言われたんですが、
それでも股関節のあたりが痛いんです」
「腰が痛いのか股関節が痛いのか、自分でもよくわからなくて」
股関節まわりの痛みを抱えて来院される方から、
こういったお話をよく聞きます。
股関節の痛みは、一口に「股関節痛」と言っても
その原因は一つではありません。
骨・軟骨の問題、筋肉・筋膜の問題、腰椎や神経からくる関連痛など、
複数の原因が絡み合っていることも多いです。
この記事では、股関節痛の主な原因と、
「これは見逃してはいけない」という疾患の見分け方を解説します。
自分の股関節に何が起きているかを理解する、最初の一歩にしてください。
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股関節とはどんな関節か
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股関節は、骨盤の「寛骨臼(かんこつきゅう)」という受け皿に
大腿骨頭(だいたいこっとう)という球形の骨がはまり込んだ
「球関節(きゅうかんせつ)」です。
前後・左右・回旋と、あらゆる方向に動くことができる関節で、
体重を支えながら歩く・走る・しゃがむといった
日常のあらゆる動作の要(かなめ)になっています。
この関節の表面は「関節軟骨」で覆われており、
骨同士が直接こすれないようにクッションの役割を果たしています。
関節の周囲は「関節包」という袋で包まれ、
さらに多くの筋肉・靭帯によって安定性が保たれています。
股関節そのものは、鼠径部(そけいぶ:太ももの付け根の前面)の
やや深いところにあります。
ただし、股関節由来の痛みは必ずしも鼠径部だけに出るわけではなく、
お尻・太ももの外側・内側・膝の内側まで広がることもあります。
「股関節が痛い」と思っていても、実は腰や臀部の筋肉の問題だった、
というケースも珍しくありません。
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股関節痛の主な原因:4つのカテゴリ
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股関節まわりの痛みは、大きく4つのカテゴリに分けて考えることができます。
◆ カテゴリ①:関節そのものの問題
股関節の骨・軟骨・関節包に問題がある状態です。
・変形性股関節症(最も多い)
関節軟骨がすり減り、骨同士がこすれて炎症・変形が起きる状態。
中高年女性に多く、初期は動き始めの痛みや鼠径部の重さとして現れます。
・関節唇損傷(かんせつしんそんしょう)
股関節の縁にある「関節唇」という軟骨組織の損傷。
深くしゃがんだときや足を内側に回したときに「つまり感・引っかかり感」が出ます。
・大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)
大腿骨頭への血流が途絶え、骨組織が壊死する状態。
ステロイド長期使用・過度の飲酒が主なリスク因子です。
これは見逃してはいけない疾患のひとつです(後述)。
◆ カテゴリ②:筋肉・筋膜・腱の問題
股関節周囲の筋肉や軟部組織に問題がある状態です。
・腸腰筋(ちょうようきん)の緊張・短縮
腰椎から大腿骨につながるこの筋肉が硬くなると、
鼠径部〜股関節前面の痛み・詰まり感が出ます。
デスクワークで長時間座っている方に多いパターンです。
・梨状筋(りじょうきん)症候群
坐骨神経の近くを走る梨状筋が緊張・肥大すると、
臀部深部の痛みや坐骨神経痛様の症状が出ます。
「お尻の奥が痛い・足のしびれがある」という方に多いです。
・大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)・腸脛靭帯(ITバンド)
股関節の外側から膝にかけて走るこの筋肉・靭帯の緊張が、
股関節外側〜膝外側にかけての痛みを引き起こします。
ランナーに多い「ランナー膝」もここに関係します。
◆ カテゴリ③:腰椎・神経由来の関連痛
腰椎の問題が股関節まわりに痛みとして現れるケースです。
・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症
L2〜L4レベルの神経根が圧迫されると、
鼠径部・太もも前面・膝内側への放散痛が出ることがあります。
「股関節が痛い」と思って受診したら、実は腰の問題だったというケースが少なくありません。
・仙腸関節(せんちょうかんせつ)の機能障害
骨盤の後ろにある仙腸関節の可動性が失われると、
臀部・鼠径部・太ももにかけての鈍痛が生じます。
産後の女性や、長時間の片側荷重が続く方に多いです。
◆ カテゴリ④:見逃してはいけない疾患
まれですが、以下の疾患が股関節痛の原因になることがあります。
これらは整形外科的な精密検査が必要です。
・大腿骨頭壊死
前述のとおり、ステロイド使用歴・飲酒歴がある方の股関節痛は
この疾患を念頭に置く必要があります。
MRIによる確認が必要です。
・化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)
細菌感染による関節炎。発熱・強い腫れ・安静時にも強い痛みが特徴です。
これは緊急性が高く、すぐに医療機関を受診する必要があります。
・骨盤・股関節周囲の腫瘍
まれですが、骨腫瘍・転移性腫瘍が股関節痛として現れることがあります。
安静時痛・夜間痛・体重減少を伴う場合は要注意です。
・股関節結核
現代では少ないですが、見逃せない感染性疾患です。
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「鍼灸に来ていいかどうか」の目安
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股関節が痛いとき、まず病院に行くべきですか?
それとも鍼灸院でもいいですか?
以下のような症状がある場合は、まず整形外科への受診を優先してください。
【整形外科を先に受診すべきサイン】
✗ 転倒・外傷後に突然股関節が痛くなった(骨折の可能性)
✗ 発熱・股関節の腫れ・熱感を伴う強い痛み(化膿性関節炎の可能性)
✗ 安静時・夜間にも強い痛みがあり、体重減少・倦怠感も伴う(腫瘍・感染の可能性)
✗ ステロイド長期使用歴・大量飲酒歴があり、突然の股関節痛(大腿骨頭壊死の可能性)
✗ 脚の長さが左右で違う・歩き方が急に変わった(骨格の問題の可能性)
以下の場合は、鍼灸での対応が適しています。
【鍼灸が適しているサイン】
✓ 動き始めに股関節がこわばる・重い感じがする
✓ 長時間歩くと股関節〜臀部が重だるくなる
✓ 深くしゃがむと股関節前面がつまる感じがする
✓ 腰痛と股関節の痛みが同時に出る
✓ お尻の奥が痛い・しびれる感じがある
✓ レントゲンで「軽度〜中程度の変形性股関節症」と診断された
✓ 病院で「様子を見ましょう」と言われたが症状が続いている
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東洋医学から見た股関節痛
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東洋医学では、股関節まわりの痛みを
「足の少陽胆経(あしのしょうようたんけい)」「足の太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)」
などの経絡の気血の滞りとして捉えます。
また、股関節・骨・関節の健康は「腎(じん)」と深い関わりがあると考えます。
加齢とともに腎の精気が衰えると、骨・軟骨・関節への栄養供給が低下し、
変形性股関節症のような退行性変化が起きやすくなるという見方です。
冷えや湿気で悪化する股関節痛には「寒湿邪(かんしつじゃ)」の関与、
ストレスや疲労で悪化する場合には「肝気鬱結(かんきうっけつ)」や
「気血両虚(きけつりょうきょ)」が背景にあることもあります。
局所の治療と並行して全身の状態を整えることが、
股関節痛の回復を早める上でも重要です。
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まとめ
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股関節痛の原因について、整理します。
・股関節痛の原因は「関節の問題」「筋肉・筋膜の問題」「腰椎・神経由来」「見逃せない疾患」の4つに大別できる
・「股関節が痛い=変形性股関節症」とは限らない。筋肉・腰椎由来の痛みも多い
・発熱・外傷・安静時の強い痛み・体重減少を伴う場合は整形外科を先に受診する
・レントゲン異常なし・様子見と言われたケースでも、筋肉・筋膜へのアプローチで改善できることがある
・東洋医学的には経絡・腎・外邪の視点から股関節痛を捉え、全身を整えながらアプローチする
何が原因なのかはっきりしないんです
という方、まずは一度ご相談ください。
問診・触診を通じて「今何が起きているか」を整理するところから始めます。
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【城ヶ崎さくら並木の鍼灸院】
静岡県伊東市富戸908-111 セルティア城ヶ崎105
TEL:0557-51-3663
ご予約・お問い合わせ:sakura491.com
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を保証するものではありません。
強い痛み・発熱・外傷後の股関節痛は、緊急性が高い疾患の可能性があります。
迷ったときは整形外科への受診をおすすめします。