【鍼通電の電気のリズム】痛みの種類で使い分ける!効果と脳内物質の関係を専門家が解説

「鍼に電気を流すって、どんな効果があるの?」

 

「強さが違うと、何が変わるの?」

 

鍼通電療法(電気を流す鍼)を受けたことがある方、あるいはこれから受けてみたいと思っている方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

 

この記事では、専門的なリサーチに基づき、

 

鍼通電の電気のリズム(Hz)

 

を変えることで、私たちの身体にどのような変化が起きるのかを、分かりやすく解説します。

 

鍼通電の電気のリズムと効果

一目でわかる比較表

 

 

鍼通電では、

 

1秒間に流れる電気の回数(電気のリズム)

 

によって、身体の反応が大きく変わることが科学的に明らかになっています 。

 

まずは、電気のリズムごとの特徴を分かりやすく表にまとめました。

 

 

電気のリズム (Hz) 特徴的な効果 放出される脳内物質 どんな痛みにおすすめ?
低周波 (1-10Hz) 穏やかで、心地よい鎮痛。効果が長続きする β-エンドルフィン 、エンケファリン 、エンドモルフィン    慢性的な肩こりや腰痛、広範囲の痛み、リラックスしたい時  
高周波 (50-100Hz) 即効性の鎮痛。刺激が終わると効果も早くなくなる ダイノルフィン 、セロトニン 、ノルエピネフリン    ぎっくり腰や寝違えなどの急な痛み 、神経性の痛み  
複合周波数 (2/100Hz) 低周波のリズムと高周波のリズムのいいとこ取り。相乗効果が期待できる β-エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、セロトニン、ノルエピネフリンなど  慢性と急性の痛みが混在する複雑な症状 

なぜ電気のリズムを変えると効果が変わるの?

 

 

この違いは、電気のリズムごとに異なる「脳内物質」の放出を促すためです。

 

私たちの脳には、もともと「内因性オピオイド」と呼ばれる、痛みを感じにくくする物質が備わっています。

 

これらは、気分を穏やかにしたり、幸福感をもたらしたりする働きも持っています 。

 

鍼通電は、この素晴らしいシステムに働きかけ、それぞれの物質を効率よく引き出すことができます。

1. 低周波(1-10Hz)のリズム:「じわじわ効く」優しい鎮痛

 

1秒間に1〜10回というゆっくりした電気刺激は、筋肉をリズミカルに収縮・弛緩させます 。

 

この作用により、以下のような効果が期待できます。   

 

β-エンドルフィンとエンケファリンの放出

 

これらの物質は、脳内のμ(ミュー)およびδ(デルタ)オピオイド受容体に作用します 。

 

モルヒネに似た強力な鎮痛作用に加え、幸福感や抗不安作用をもたらすため、痛みを和らげながら心もリラックスさせる効果が期待できます 。

 

筋緊張の緩和

 

電気による「筋ポンプ作用」で、筋肉内に溜まった痛み物質が排出されやすくなり、肩こりや筋筋膜性疼痛の改善につながります 。

 

 

効果の持続性

 

低周波のリズムによる鎮痛効果は、治療後もしばらくしてからピークに達し、数時間にわたって持続することが報告されています 。

 

 

2. 高周波(50-100Hz)のリズム:「その場で効く」即効性の鎮痛

 

 

1秒間に50〜100回という速い電気刺激は、「ジンジン」「ジー」といった感覚をもたらします。

 

この電気のリズム帯では、以下のような働きがメインになります。

 

 

ダイノルフィンやセロトニン・ノルエピネフリンの放出

 

 

これらの物質は、主に脊髄レベルで痛みの信号を抑制します 。

 

特に、ダイノルフィンはκ(カッパ)オピオイド受容体に作用し、即効性の鎮痛をもたらすことが知られています 

 

ゲートコントロール理論

 

高周波のリズムは、痛みの信号が脳に伝わるゲートを「閉じる」ことで、瞬時に痛みをブロックします 。

 

そのため、即効性が必要な急性の痛みに適しています 

 

 

3. 複合周波数(2/100Hz)のリズム:「多角的にアプローチ」する最強の組み合わせ

 

 

低周波と高周波のリズムのメリットを組み合わせることで、両方の脳内物質を同時に引き出し、より強力な鎮痛効果を狙うのが複合周波数です 。

 

ある研究では、単一の電気のリズムよりも、術後の鎮痛薬の使用量を大幅に減らす効果があったと報告されています 

慢性的な痛みと急な痛みが混在するような、複雑な症状に対して特に有効と考えられます。

 

 

電気のリズム選択は、患者様一人ひとりに合わせて

 

 

これらの科学的な知見は、鍼通電の大きな強みを示していますが、臨床現場では患者様一人ひとりの症状や体質、痛みの種類に合わせて、適切な電気のリズムを慎重に選択することが最も重要です 。

 

例えば、慢性的な肩こりには低周波のリズムでじっくりと筋肉を緩め、急なぎっくり腰には高周波のリズムで即座に痛みを抑える、といった使い分けをします。

 

また、強い刺激が苦手な方には、心地よいと感じる範囲で調整を行います 。  

鍼通電療法は、科学の進歩によってそのメカニズムが次々と解明されている、信頼性の高い治療法です。

 

ご自身の痛みに悩んでいる方は、ぜひ一度、鍼灸師にご相談ください。

 

 

ご予約・お問い合わせは、お電話またはウェブサイトからお気軽にどうぞ。

電話:0557-51-3663

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