「鍼治療って、人によって効き目に差があるって本当ですか?」
これは、私たちが患者様からよくいただく質問です。
テレビやインターネットでは「鍼で劇的に治った!」という話も聞きますが
正直にお伝えすると、鍼治療の効果には個人差があります。
しかし、この差は単なる「相性」だけではありません。
近年の科学的な研究により、鍼が効きやすい人の特徴や
効きにくい場合の対処法が明確になってきています。
今回はわかっている範囲ですが、鍼灸の効果の差を生む主な要因と
当院がその差を埋めるために行っているアプローチについて解説します。
1. 「効きやすい」のはどんな症状?(疾患の性質)
鍼灸が最も効果を発揮しやすいのは、
「元に戻せる(可逆的)」な問題や、
「機能のバランスの乱れ」
が原因となっている症状です。
効きにくい症状への鍼灸の役割
たとえ不可逆的な疾患、たとえば腎臓が壊れてしまった、肺気腫のように肺が使えない部分がでてきた場合でも、
鍼は痛みを緩和したり、自律神経の安定を促したりすることで、生活の質(QOL)を改善する上で大きな役割を果たせます。
2. 効き目のカギは「脳内物質の分泌力」
鍼治療が効くかどうかを左右する、最も科学的な要因の一つが、あなたの身体が持つ「天然の鎮痛物質」を出す力です。
鍼の刺激は、脳内でエンドルフィンやエンケファリンといった「内因性オピオイド(脳内麻薬)」の分泌を促します。
- 効きやすい人: 鍼の刺激に対し、これらの鎮痛物質が豊富に分泌される人や、その物質を受け取る受容体(レセプター)の感度が高い人は、強力な鎮痛効果をすぐに実感できます。
- 効きにくい人: 遺伝的な要因などで、これらの鎮痛物質が出にくい、あるいは受け取りにくい体質の場合、効果を感じにくいことがあります。
【研究でわかっていること】
特に中国の韓済生教授らによる研究では、鍼通電の周波数を調整することで、放出される脳内物質をコントロールできることが判明しています。
当院では、この知見に基づき、2Hz(エンドルフィン)と100Hz(ダイノルフィン)を使い分け、患者様の脳内物質の分泌を最適化するよう努めています。
3. 心理的要因:期待と安心感の重要性
鍼治療の効果には、「プラセボ効果(偽薬効果)」が関わることも、科学的に広く認められています。
これは、ネガティブな意味ではなく、「期待」が身体の治癒力を高めるという、脳の素晴らしい働きです。
- 効きやすい人: 鍼治療や施術者に対して「これで良くなるはずだ」という信頼感や期待を持てる人は、脳のストレス中枢が鎮静化しやすくなります。この安心感が鍼によるリラックス効果を増幅させます。
- 効きにくい人: 鍼に対して強い恐怖心や疑念があると、身体が緊張状態にあるため、鍼によるリラックス効果や調整効果が働きにくくなることがあります。
当院のアプローチ:効きにくい人にも効果を出すために
当院では、「鍼が効きにくい」と感じる患者様に対しても、以下のような工夫で身体の反応を引き出すよう努めます。
- 診断の精密化: 効きにくい原因が中枢性感作なのか、深部の筋膜の癒着なのかを徹底的に見極めます。
- 周波数のカスタマイズ: 鍼通電を使用する場合は周波数(2Hz/100Hz)や、鍼の深さ、太さを、患者様の鍼への感受性に合わせて調整します。
- 信頼関係の構築: 治療の目的や作用機序を詳しくご説明し、鍼に対する不安を解消することで、リラックス効果と脳内物質の分泌を促します。
鍼治療は、あなたの「治る力」を引き出すオーダーメイドの医療です。「私には効かないかも」と諦めずに、まずはご相談ください。
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