「自律神経失調症の治療で、整体院や鍼灸院に行くと
『まず3か月は続けてみましょう』
と言われることが多いけど、なぜだろう?」
このように疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
自律神経の不調は、風邪のようにすぐに治るものではありません。
当院が、症状の根本改善と体質安定のために
「約3か月間」の継続的な通院を推奨するのには
明確な科学的根拠(エビデンス)と
人体の生理学的なメカニズムに基づいた理由
があります。
単なる「経験則」ではない、体の回復のサイクルを理解することで
「2回終わったけど治らない・・・だまされているんじゃないかな?」
と心配せず、安心して治療に取り組むことができるでしょう。
1. 科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療期間の設定
治療期間の目安である
「3か月(約12週間)」
は、臨床試験や神経科学の知見から導かれています。
A. 神経系の「再学習」と可塑性(かそせい)
乱れた自律神経(常に交感神経が優位な状態)が
鍼灸などの継続的な刺激によって「安定した状態」を学習し、それを定着させるには、一定の時間が必要です。
- 神経細胞の可塑性: 神経は、繰り返し適切な刺激を受けることで、機能や構造を変化させる能力(神経可塑性)を持っています。強いストレスによって形成された**「不調な回路」を、「安定した回路」**に切り替えるためには、最低でも8〜12週間の継続的な介入が臨床的に必要とされています。
- 症状の波の安定: 自律神経の症状は日によって波がありますが、3か月継続することで、この波の振れ幅が徐々に小さくなり、体調の土台が安定する段階に入ることが期待されます。
B. 臨床試験プロトコルとしての評価期間
鍼治療の有効性を評価する多くの**ランダム化比較試験(RCT)**では
自律神経に関連する慢性疼痛や機能性疾患に対する治療期間として
8週間〜12週間が標準的なプロトコル(手順)として設定されています。
これは、短期的な鎮痛効果だけでなく
症状の頻度やQOL(生活の質)の持続的な改善を評価するために、この期間が必要だと認められているためです。
2. 体質改善に必要な「細胞のターンオーバー周期」
自律神経の乱れは、全身の血流や代謝の悪化を引き起こします。体質を根本的に改善し、ストレスに強い体を作るには、治療効果を細胞レベルに浸透させる時間が必要と考えられています。
A. 赤血球の寿命(約4か月)
- 全身に酸素を運び、代謝を支える**赤血球の寿命は約120日(約4か月)**です。
- 鍼灸や整体によって血流が改善され、酸素や栄養をしっかり運べる質の良い血液に循環を切り替えるには、この赤血球がほぼ入れ替わる周期を目安にするのが最も効果的です。
B. 筋肉、骨、皮膚の再生周期
- 筋肉や筋膜: 疲労やストレスで硬くなった筋膜や筋肉が、治療によって緩んだ状態を維持し、新しい柔軟な組織に生まれ変わるには、数週間から数か月かかります。
- 骨・腱: さらに安定した状態を築くためには、骨や腱といった結合組織の代謝周期(数か月~数年)も関わってきますが、最初の3か月で土台を築くことが重要です。
3. 当院が推奨する理想的な治療スケジュール
この3か月という期間を最大限に活用するために、当院では段階的な治療スケジュールを提案しています。
| 期間 | 目的 | 治療頻度の目安 |
| 初期(1ヶ月目) | 乱れのリセット | 週に1~2回 |
| 乱れた自律神経の急激なバランスをリセットし、症状の強い波を鎮めます。神経が刺激を強く受け取りやすい時期です。 | ||
| 中期(2〜3ヶ月目) | 安定化と定着 | 週に1回 |
| 症状が落ち着き始め、体質が変化する時期です。治療効果が神経系に定着し、薬に頼らない「自力で安定する力」を育てます。 | ||
| 後期(4ヶ月目以降) | メンテナンス | 2週間に1回~月1回 |
| 安定した体調を維持するためのメンテナンス期間です。再発防止と体調の微調整を行います。 |
自律神経失調症の治療は「マラソン」と同じです。
短期間で無理に症状を抑え込もうとせず、3か月という期間を目標に、着実に体の機能回復を目指すことが、薬に頼らない安定した体質を手に入れるための最も賢明な道筋です。
あなたの症状が3か月後、どのように変化しているか。ぜひ私たちと一緒に、その変化を体感してみませんか。
城ヶ崎さくら並木の鍼灸院
- 電話番号: 0557-51-3663
- インターネット予約: [自律神経専門治療のご予約はこちら] (https://kenkounihari.seirin.jp/clinic/1195/reserve)
- 駐車場: 完備しております。
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