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レントゲンで「異常なし」と言われたのに
首がつらい――その理由を鍼灸師が説明します
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「病院でレントゲンを撮ったけど、骨には異常ないと言われました」
「でも首は毎日つらいし、頭痛もある。これって気のせいなんでしょうか?」
こういうお話を、患者さんからよく聞きます。
結論から言います。
気のせいではありません。
レントゲンに映らない「つらさの原因」は、確かに存在します。
この記事では、その正体と、鍼灸でどうアプローチするかをお伝えします。
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レントゲンで見えるものと、見えないもの
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レントゲン(X線)は、骨や石灰化した組織を映し出すことに優れた検査です。
骨折・脱臼・骨の変形・椎間板の高さの減少などは、レントゲンで確認できます。
一方で、レントゲンには映らないものがあります。
× 筋肉の緊張・硬さ
× 筋膜の癒着・ひきつれ
× トリガーポイント(筋肉内の硬結)
× 神経の感作(過敏になった状態)
× 靭帯・腱の軽度の損傷
× 血流の低下
つまり、「骨に異常なし=何も問題ない」ではなく、
「骨には異常がない=骨以外の問題がある可能性がある」と読み解くべきなのです。
その気持ち、とてもよくわかります。
でも、諦める必要はありません。
骨以外の組織にアプローチする方法は、ちゃんとあります。
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「レントゲン異常なし」でよく見られる3つの問題
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首のつらさを訴えながらもレントゲンで異常が見つからない方に、
臨床でよく見られるパターンを3つご紹介します。
◆ 問題①:筋膜の癒着・ひきつれ
筋膜とは、筋肉・臓器・神経などを包んでいる薄い膜の組織です。
全身をスーツのように覆っていて、本来は滑らかに動くものですが、
同じ姿勢を続けたり、過去のケガや炎症の影響で癒着(くっつき)が起きると
動きが制限され、引っ張るような痛みや張り感が出てきます。
筋膜はレントゲンには映りません。
でも、筋膜の問題が首・肩・後頭部のつらさに大きく関わっていることは
近年の研究でも注目されています。
◆ 問題②:トリガーポイント
トリガーポイントとは、筋肉の中にできる「しこり」のような硬結部分のことです。
押すと痛みがあるだけでなく、離れた場所に「関連痛」を引き起こすのが特徴です。
たとえば、
・僧帽筋のトリガーポイント → 側頭部や耳の後ろへの頭痛
・肩甲挙筋のトリガーポイント → 首の付け根〜肩にかけての鋭い痛み
・胸鎖乳突筋のトリガーポイント → 目の奥の痛み・頬の違和感
「押したところと違う場所が痛い」というのは、このトリガーポイントが原因のことがあります。
これもレントゲンには映りません。
◆ 問題③:神経の感作(中枢性感作)
痛みや不快感が長く続くと、神経系そのものが過敏になることがあります。
これを「感作(かんさ)」と呼びます。
感作が起きると、本来は痛みを感じないような軽い刺激でも痛みとして認識されたり、
実際の組織の損傷がなくても慢性的な痛みが続いたりします。
「検査では何も出ないのに、ずっと痛い」という状態は、
この神経の感作が関わっている可能性があります。
検査機器だけでは見えてこない部分は、
丁寧な触診と問診で確認することができます。
「どこを触ったら痛いか」「どんな動きでつらくなるか」「いつ頃からか」
こういった情報を積み重ねることで、レントゲンに映らない問題の輪郭が見えてきます。
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鍼灸は「レントゲンに映らない問題」へのアプローチが得意
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鍼灸は、骨・軟骨の損傷を直接修復する治療ではありません。
でも、レントゲンに映らない筋肉・筋膜・神経の問題には、
非常に相性の良い治療法です。
◆ 鍼によるアプローチ
細い鍼を筋肉に刺すことで、局所的な血流を促し、
筋緊張を緩め、トリガーポイントを直接刺激して解消します。
表面からのマッサージでは届かない深層の筋肉にも、鍼はアプローチできます。
◆ 筋膜へのアプローチ
鍼を刺した際の「ひびき感(得気)」は、筋膜に伝わる刺激と関連していると言われています。
筋膜の癒着やひきつれに対して、鍼は有効なアプローチになり得ます。
◆ 神経系へのアプローチ
鍼灸刺激は、中枢神経系にも影響を及ぼすことが研究で示されています。
慢性的な痛みや神経の過敏状態に対して、
鍼灸が痛みの閾値を上げる(感じにくくする)方向に働くことが期待されます。
使用する鍼は注射針とは異なり、非常に細いものです。
刺したときに「ずーんとした感覚(ひびき)」を感じることはありますが、
鋭い痛みではなく、多くの方が「思ったより気持ちいい」と言われます。
不安な方にはオプションから「細い鍼コース」をえらんでいただきますと感覚を最小限におさえられます。
ただし、まったくの無刺激(気功のようなさわっているかもわからない)にはできませんことをお断りしておきます。
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「異常なし」で見落とされやすいチェックポイント
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レントゲンを撮ったけど異常なしと言われた方へ、
あわせて確認してほしいポイントをお伝えします。
✓ 後頭部の付け根(後頭下)を押すと痛みや重さがある
✓ 首を左右に回したとき、片側だけ動きにくい
✓ 肩甲骨の内側に張り感や硬さがある
✓ 目の疲れ・頭が重い感覚が首のつらさと一緒に出る
✓ 特定の姿勢(下を向く・スマホを見る)でつらさが増す
これらは筋膜・筋肉・神経の問題に関連するサインです。
いくつか当てはまる場合、骨の問題ではなく軟部組織へのアプローチが有効な可能性があります。
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まとめ
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「レントゲン異常なし」でも首がつらい理由、整理します。
・レントゲンは骨しか映さない。筋肉・筋膜・神経は映らない
・筋膜の癒着、トリガーポイント、神経の感作が「映らないつらさ」の主な原因
・こうした問題には、鍼灸が有効なアプローチになり得る
・丁寧な触診・問診で、検査に映らない問題の輪郭を把握できる
「骨に異常がないのに、なんでこんなにつらいんだろう」と
長年悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたのつらさには、ちゃんと原因があります。
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【城ヶ崎さくら並木の鍼灸院】
〒 静岡県伊東市
ご予約・お問い合わせ:sakura491.com
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を保証するものではありません。
症状が強い場合や原因不明の症状が続く場合は、医療機関への受診もあわせてご検討ください。