五十肩の夜間痛がひどい理由|東洋・西洋の視点から伊東市の鍼灸師が解説|城ヶ崎さくら並木の鍼灸院

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五十肩の痛みはなぜ夜にひどくなるのか
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「昼間はなんとか我慢できるんですが、夜になると肩が激しく痛くて。
夜中に何度も目が覚めてしまって、もう何週間もまともに眠れていないんです」

五十肩の患者さんから、こういった言葉をよく聞きます。
夜間痛は、五十肩の中でも特につらい症状のひとつです。

「なぜ夜になると痛みが増すのか」
「夜間痛があるということは、どういう状態なのか」
「少しでも楽に眠るにはどうすればいいのか」

この記事では、これらの疑問に西洋医学・東洋医学の両方の視点からお答えします。

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西洋医学から見た夜間痛の理由
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夜間に肩の痛みが増す理由は、いくつかの生理的な変化によるものです。

◆ 理由①:副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌リズム
コルチゾールは「抗炎症作用」を持つホルモンで、
日中は活動に合わせて多く分泌されています。
夜間・睡眠中はこの分泌量が減るため、
炎症を抑える力が低下し、痛みを感じやすくなります。

「昼間は動いていると気にならないのに、横になると痛くなる」
という方の多くは、このホルモンの変動が関わっています。

◆ 理由②:横になることで肩関節内の圧力が変化する
立っているときは重力で肩関節がある程度引き下げられていますが、
横になると関節内のスペースが変化します。
炎症を起こした関節包や滑液包への圧迫・刺激が増し、
痛みが出やすくなります。

特に、患側(痛い側)を下にして横向きに寝ると
関節への直接的な圧迫が強くなり、痛みが増します。

◆ 理由③:炎症性サイトカインの夜間増加
炎症に関わるサイトカイン(TNF-αやIL-6など)は、
夜間から早朝にかけて分泌が増加する傾向があります。
これが関節周囲の炎症を活性化させ、
明け方に痛みがピークになるケースもあります。

◆ 理由④:日中の代償動作による疲労の蓄積
日中、痛い肩をかばいながら過ごすことで、
肩まわりの筋肉が過緊張状態になります。
夜になってその疲労と緊張が一気に症状として現れる、
というパターンもあります。

患者さん
患者さん
つまり、夜間痛は炎症のサインということですか?

そうです。夜間痛がある=炎症期のサインと考えてよいです。
この時期に無理に肩を動かすと炎症が悪化するため、
「痛みに負けず動かせ」というアドバイスは逆効果になります。

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東洋医学から見た夜間痛の理由
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東洋医学には「陰陽の時間帯」という考え方があります。
昼間は「陽の時間」、夜は「陰の時間」です。

◆ 夜は「営気(えいき)」が主役になる時間帯
東洋医学では、気(き)の働きを大きく「衛気(えいき)」と「営気(えいき)」に分けます。

・衛気(えいき):体の外側を守る気。昼間に活発に働き、外邪から体を守る
・営気(えいき):血脈の中を流れ、臓腑・組織を栄養する気。夜間に主役となる

夜間は営気が全身の経絡・臓腑をめぐる時間です。
この営気の巡りが滞っている場所では、
夜になると痛みや不快感として症状が現れやすくなります。

五十肩の場合、肩まわりの経絡(手の三陽経:太陽・陽明・少陽)に
気血の滞りがあると、夜間の営気の巡りが肩で詰まり、
痛みとして感じられると考えます。

◆ 「寒邪(かんじゃ)」と夜間痛の関係
東洋医学では、痛みの多くは「通じなければ痛む(不通則痛)」という原則で説明されます。
夜は気温が下がり、寒邪が体に影響しやすくなります。

寒邪は収引(しゅういん)といって、
経絡・筋肉・関節を引き締め・収縮させる性質を持ちます。
この収縮が気血の流れをさらに滞らせ、
夜間の痛みを増幅させると考えます。

「肩を温めると少し楽になる」という方が多いのは、
この「寒邪による収引」を温めることで緩める効果があるからです。

患者さん
患者さん
東洋医学の夜間痛の考え方は、西洋医学とどこかつながっていますか?

実はつながっています。
「夜間は炎症物質が増え、体温が少し下がり、ホルモンバランスが変わる」という
西洋医学的な変化は、東洋医学の「陰の時間帯・寒邪の影響・営気の滞り」と
本質的に重なる部分があります。
見方は違っても、「夜は身体にとって特別な時間帯」という認識は共通しています。

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夜間痛がある時期の鍼灸アプローチ
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夜間痛がある=炎症期と判断した場合、
鍼灸では「炎症を鎮める・気血の急激な滞りを解消する」方向で施術します。

◆ 西洋医学的アプローチ
・肩関節周囲の過剰な筋緊張を緩め、血流を改善する
・炎症が強い部位への直接的な強刺激は患者様の状態にあわせ、
遠隔のツボ(手・肘・足など)から間接的にアプローチする
・自律神経を整えることで、炎症反応を適切なレベルに落ち着かせる

◆ 東洋医学的アプローチ
・手の三陽経(太陽・陽明・少陽)の経絡の流れを整えるツボを選択する
・「熱証(ねつしょう)」があれば清熱のツボを使い、
「寒証(かんしょう)」があれば温通経絡(経絡を温めて通す)のアプローチをとる
・急性期の「瀉法(しゃほう)」:滞りを取り除き、余分な邪気を排出する刺激を行う

——「炎症期は鍼をしても大丈夫ですか?」

炎症が強い急性期でも、鍼灸は適切なアプローチで行えば有効です。
ただし、炎症局所への強刺激は避け、
遠隔取穴(離れた場所のツボ)や全身調整を中心とした施術を行います。
「炎症期だから鍼灸はダメ」ということはありません。
むしろ早期に介入することで、拘縮への移行を緩やかにできることがあります。

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夜間痛で少しでも楽に眠るための工夫
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施術と並行して、日常でできる工夫もお伝えします。

【寝姿勢の工夫】
✓ 患側(痛い肩)を下にして寝るのは避ける
✓ 仰向けで寝る場合、患側の肩の下に薄いタオルや枕を入れて肩を少し浮かせる
✓ 健側(痛くない側)を下にして横向きで寝る場合、
患側の腕を体の前に出し、枕やクッションで支えると安定しやすい

【寝る前の温め】
✓ 入浴で肩まわりをしっかり温める(シャワーだけより湯船につかる)
✓ 蒸しタオルや温熱シートを肩・肩甲骨まわりに当てる
※ただし、触ると熱感がある・赤みがある場合は温めより冷やす方が適切な場合もあります

【衣類の工夫】
✓ 寝るときに薄手のサポーターや肩当てで肩を保温する
✓ 冷房が強い環境では肩を冷やさないよう注意する

患者さん
患者さん
冷やすか温めるか、どうやって判断しますか?

簡単な目安をお伝えします。
触ったときに熱感がある・見た目に赤みや腫れがある場合は
炎症が強い状態のため、アイシング(冷やす)が有効です。
熱感がない・慢性的なだるい痛みが中心の場合は、
温めることで血流が改善し、楽になることが多いです。
判断に迷う場合は、専門家に確認することをおすすめします。

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まとめ
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五十肩の夜間痛について、整理します。

・夜間痛はコルチゾール分泌の低下・関節内圧の変化・炎症物質の増加が重なって起きる
・東洋医学では「陰の時間帯の営気の滞り」と「寒邪による収引」が夜間痛の原因
・夜間痛がある=炎症期のサイン。この時期の無理な運動は逆効果
・鍼灸では炎症局所への強刺激を避け、遠隔取穴・全身調整で早期から介入できる
・寝姿勢・温め・保温の工夫で夜間の痛みを和らげることができる

「夜に痛くて眠れない」という状態が続くと、
睡眠不足から体力・免疫力が落ち、回復が遠のいてしまいます。
「もう少し様子を見よう」と思っている方、
まず一度ご相談ください。
夜間痛の段階から適切にアプローチすることが、
その後の回復の質を大きく変えます。

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【城ヶ崎さくら並木の鍼灸院】
静岡県伊東市富戸908-111 セルティア城ヶ崎105
TEL:0557-51-3663
ご予約・お問い合わせ:sakura491.com
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を保証するものではありません。
強い夜間痛・発熱・腫れを伴う肩の痛みは、感染性関節炎など別の疾患の可能性もあります。
症状が急激に悪化する場合は、整形外科への受診をおすすめします。

 

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