五十肩の時期別鍼灸治療|炎症期・拘縮期・回復期で何が違うのか|城ヶ崎さくら並木の鍼灸院

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五十肩の「時期」によって治療は変わる
――炎症期・拘縮期・回復期の鍼灸
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「五十肩と言われたので、肩のストレッチをがんばっていたんですが、
かえって痛みがひどくなってしまって…」

「鍼灸院に行ったら、炎症期だから今は強く刺激しないほうがいいと言われました。
時期によって治療が違うんですか?」

こういった疑問をお持ちの方は多いです。

五十肩の治療で最も大切なことのひとつが、
「今どの時期にいるかを正確に見極めること」です。

同じ五十肩でも、炎症期・拘縮期・回復期では
身体の中で起きていることがまったく異なります。
その違いを無視して同じアプローチをすると、
回復が遅れるどころか悪化することがあります。

この記事では、各時期の特徴と、
東洋・西洋の両面から見た鍼灸のアプローチの違いを詳しく説明します。

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時期の見極めが、なぜそれほど重要なのか
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五十肩の3つの時期は、それぞれ身体の状態がまったく異なります。

炎症期は「火が燃えている状態」。
この時期に無理に動かしたり強く刺激すると、
火に油を注ぐことになり炎症が悪化します。

拘縮期は「固まってしまった状態」。
この時期は逆に、動かさないでいると癒着が進んでしまいます。
適切な刺激と運動が回復の鍵になります。

回復期は「再建している状態」。
この時期は気血を補い、筋力・柔軟性を取り戻すことが重要です。

患者さん
患者さん
自分が今どの時期かは、どうやって判断すればいいですか?

おおよその目安をお伝えしますが、
実際には時期の移行が明確でないこともありますし、
炎症期と拘縮期が混在しているケースもあります。
判断に迷う場合は、専門家への確認を強くおすすめします。

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第1期:炎症期のアプローチ
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【この時期の主な特徴】
・安静時・夜間にも痛む(自発痛・夜間痛)
・肩を動かすと激しく痛む
・熱感・腫れ感を伴うことがある
・可動域がどんどん狭くなっていく
・目安期間:数週間〜3か月程度

◆ 西洋医学的な状態
肩関節包・滑液包・腱などに急性の炎症が起きています。
炎症性サイトカインが増加し、組織が腫脹・充血しています。
この時期に過度な刺激・運動を加えると、
炎症が増悪し、組織の損傷が進む可能性があります。

◆ 東洋医学的な状態:気滞血瘀(きたいけつお)+熱証
気と血の流れが急激に滞り、熱を帯びた状態です。
「通じなければ痛む(不通則痛)」の典型で、
鋭い・熱感を伴う痛みとして現れます。

【炎症期の鍼灸アプローチ】

◆ 西洋医学的アプローチ
・肩関節局所への強刺激・深刺しは避ける
・遠隔取穴を中心に:条口(じょうこう)・陽陵泉(ようりょうせん)・
後谿(こうけい)など、手足のツボから肩への影響を利用する
・自律神経調整で炎症反応を適切なレベルに抑える
・鍼による鎮痛効果(エンドルフィン・セロトニンの分泌促進)を活用する

◆ 東洋医学的アプローチ:標治(ひょうち)中心
標治とは、今出ている症状・苦痛を取り除くための治療です。
・瀉法(しゃほう):滞った気血を流し、余分な熱邪・瘀血(おけつ)を排出する
・清熱活血(せいねつかっけつ):熱を冷まし、血の流れを回復させるツボを選ぶ
例:合谷(ごうこく)・曲池(きょくち)・肩髃(けんぐう)への軽刺激

【炎症期のNG】
✗ 肩関節への強い揉みほぐし・強いストレッチ
✗ 「痛みに負けず動かす」という無理な可動域訓練

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第2期:拘縮期のアプローチ
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【この時期の主な特徴】
・夜間痛・自発痛は軽減してくる
・動かしたときの痛みと、著しい可動域制限が前面に出る
・「痛いより動かない」という状態
・髪を洗う・服を着る・帯を結ぶ動作が困難
・目安期間:3か月〜1年以上

◆ 西洋医学的な状態
急性炎症は落ち着いてきたものの、
関節包が線維化・肥厚し、癒着が起きています。
関節包の容積が減少し、関節の動きが機械的に制限されます。
この時期は「使わないと癒着が進む」という状態です。

◆ 東洋医学的な状態:血虚寒凝(けっきょかんぎょう)
気血が不足し(血虚)、寒邪が経絡に停滞して凝り固まった(寒凝)状態です。
「栄養が届かない+冷えで固まる」という二重の問題が起きています。
痛みは炎症期より鈍く・深いものになり、
冷えると悪化・温めると楽になるパターンが増えます。

【拘縮期の鍼灸アプローチ】

◆ 西洋医学的アプローチ
・肩関節周囲の線維化した組織への直接アプローチが可能になる
・関節包・肩峰下滑液包・回旋筋腱板(ローテーターカフ)周囲への施術
・温熱効果を活用した深部組織の血流改善
・可動域訓練(振り子運動・滑車運動など)と組み合わせることで相乗効果

◆ 東洋医学的アプローチ:標治+本治(ほんち)
本治とは、症状の根本原因(体質・臓腑の状態)に働きかける治療です。
拘縮期からは、標治(局所の症状改善)と本治(全身の気血を補う)を組み合わせます。

・温通経絡(おんつうけいらく):温鍼・灸で経絡を温め、寒凝を解消する
・補血活血(ほけつかっけつ):血を補い巡らせるツボを選ぶ
例:血海(けっかい)・三陰交(さんいんこう)・足三里(あしさんり)
・手の三陽経への施術:肩髃(けんぐう)・肩髎(けんりょう)・天宗(てんそう)

【拘縮期のポイント】
✓ 温めることで組織が柔らかくなり、可動域訓練の効果が上がる
✓ 鍼灸後に可動域訓練を行うのが効果的なタイミング
✓ 痛みが出ない範囲でのゆっくりとした動かし方が基本

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第3期:回復期のアプローチ
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【この時期の主な特徴】
・可動域が徐々に戻ってくる
・痛みが軽減し、日常動作が楽になってくる
・「少しずつ動けるようになってきた」という感覚
・目安期間:数か月〜1年

◆ 西洋医学的な状態
炎症が収束し、関節包の線維化が落ち着いてきます。
組織の修復・リモデリング(再構築)が進む時期です。
この時期に適切な運動・刺激を加えることで、
筋力・柔軟性・関節の安定性を取り戻すことができます。

◆ 東洋医学的な状態:気血の回復期
「気血が再び巡り始める」段階です。
ただし、まだ気血の不足(虚の状態)が残っていることが多く、
この時期に無理をすると再燃することがあります。

【回復期の鍼灸アプローチ】

◆ 西洋医学的アプローチ
・肩関節周囲筋(回旋筋腱板・三角筋・僧帽筋など)の機能回復を促す施術
・残存する筋緊張・トリガーポイントの解消
・肩甲骨の動きと胸椎の柔軟性の改善
・筋力回復エクササイズと組み合わせた施術

◆ 東洋医学的アプローチ:本治中心
回復期は「補法(ほほう)」が中心になります。
補法とは、不足した気血・臓腑の機能を補う施術です。
・補気補血(ほきほけつ):気と血を補うツボへの温補
例:気海(きかい)・関元(かんげん)・足三里・三陰交・太渓(たいけい)
・腎を補う:五十肩の根本には「腎の精気の不足」があるという考えのもと、
腎経・腎臓に関わるツボで体の根本的な回復力を高める

【回復期のポイント】
✓ 「治ってきた」と感じても、気血の回復には時間がかかる
✓ 無理な運動・重いものを持つ動作は再燃のリスクになる
✓ この時期こそセルフケア(体操・温め・養生)が回復速度を左右する

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3つの時期と鍼灸アプローチの全体像
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炎症期    拘縮期    回復期
西洋的状態:急性炎症 → 線維化・癒着 → 組織修復
東洋的状態:気滞血瘀 → 血虚寒凝  → 気血回復
鍼灸方針 :瀉法・遠隔 → 温通・標本 → 補法・本治
運動の目安:安静中心 → 適度に動かす → 積極的に回復

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まとめ
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五十肩の時期別アプローチ、整理します。

・炎症期:「火を鎮める」が最優先。局所への強刺激・無理な運動はNG
・拘縮期:「温め・巡らせ・動かす」が鍵。可動域訓練との組み合わせが有効
・回復期:「気血を補い・機能を取り戻す」段階。焦らず着実に
・東洋医学では気滞血瘀→血虚寒凝→気血回復という流れで各時期を捉える
・標治(症状への対処)と本治(根本への対処)を時期に応じて使い分ける

「同じ五十肩でも、今の時期によってやるべきことがまったく違う」
ということをぜひ覚えておいてください。

「今自分がどの時期なのかわからない」
「何をすればいいか迷っている」という方は、
ぜひ一度ご相談ください。
現在の状態を確認しながら、最適なアプローチを一緒に考えます。

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【城ヶ崎さくら並木の鍼灸院】
静岡県伊東市富戸908-111 セルティア城ヶ崎105
TEL:0557-51-3663
ご予約・お問い合わせ:sakura491.com
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を保証するものではありません。
時期の判断や治療方針については、専門家にご相談のうえで進めることをおすすめします。

 

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